第57代主将 野口稜平 FW#91

法学部 福岡高校出身

 

 「なんとなく雰囲気が良い部活だな」、きっかけは単純でしょうもない理由でした。1年生の頃から同期と馬鹿なことばかりして、それでも先輩たちみたいに上手くなりたいと思いながら練習していくうちに、気づけばこの部活が自分にとってなくてはならない存在になっていました。

 正直、この4年間は上手くいかないことばかりでした。自分には球技スポーツのセンス、もっと言えばアイスホッケーのセンス自体があまりなかったように感じていました。それでも上手くなりたいという憧れとこじらせた変なプライドだけは一丁前に持っていて、自分が勝負できる分野、例えば、スケーティングは誰よりも速くなれば少しは理想に近づけるだろうと誰よりもフリスケだけは頑張ったつもりです。1年生の頃憧れたあの先輩方の姿に少しは近づけたでしょうか。

 私たちの学年は、優秀な選手がそろった粒ぞろいの代だと思います。いつも同期のセンスに嫉妬し、「俺が一番フリスケしてるのになんで活躍できないんだ」と、そう思うことも多々ありました。実際は、私の知らないところでそれぞれが努力していて、それに気づけていなかったわけですが。一番頼もしい味方であると同時に、一番負けたくないライバル、ありきたりな表現かもしれませんが私にとって同期はそんな存在でした。この同期に負けたくないという気持ちが私にとっては重要な感情だったと思います。折れずに頑張ることができましたし、負けたくないと思う気持ちは強い原動力になりました。

 3年生の終わりに、一つ上の先輩が引退した代替わりの時期、監督から主将をやってみないかという打診を受けました。「こんな自分に務まるのだろうか」というのが正直な気持ちでした。自分よりもホッケーが上手い人は何人もいて、特に副将の目野はホッケーも上手く、よく周りが見える選手です。「本当に自分でいいのか」、そう思うことも少なくありませんでした。しかし、監督に私の小学生から高校生までの剣道人生で得た体育会気質と、誰にも負けたくないという勝利への執着心を評価してもらったとき、「これは頑張らないといけない、恥ずかしい姿は見せられない」と覚悟が決まったことを覚えています。だから、体育会運動部としてのあり方については特に厳しく指導しましたし、勝ちたいという気持ちだけは一度も忘れたことがありません。

 主将になって初めてわかったことというのは、非常に多かったように感じます。特に新チーム発足時は、ホッケーよりもチーム運営のことに時間を取られているような気がして、幹部がいかに大変な仕事であるか、責任のあるポジションであるかということを認識しました。「先輩たちこんな大変なことやってそれを顔に出さずに部活してたんだな」って思ってました。後輩たちは現幹部をしっかり支えてあげてほしいと思います。

 その他に、主将になってというよりも1年度を通して嬉しかったのは、非常にたくさんのOBさんに応援いただいたことです。生意気かもしれませんが、下級生の頃、OB・OGさんとの間に距離を感じていました。現役選手が考えることと、OBさんが現役選手に期待することにずれが生じることはある意味当然でしょう。勘違いかもしれませんが下級生のころはそのずれを強く感じていました。しかし、代を重ねるごとに、このずれは裏返せばOBさんからの現役に対する期待であると認識するようになりました。それと同時に、下級生のころには見えていなかった、OBさんからの支援に気づくようになりました。それは、寄付だけの話ではなくて、応援然り、会計然り、チームビルディング然り、下級生の頃には全く見えていなかった様々な面でOBさんに助けられていたのだと、遅いかもしれませんがやっと気づくことができたのです。下級生の時に感じていたOBさんとの距離は、自分がOBさんのことを何も知らなかっただけで、上級生になるにつれてずれが小さくなっていったのは、そこに気づき始めたからなのかもしれません。とにかく、OBさんからこんなに支援をしてもらっているということに気づいてからは、ある意味この部活は異常でした。他の部活でこんなにOBさんが多方面で支援してくれる部活は、そうはないと思います。こういったことに気づき始めてから、どの代よりもOBさんへの感謝ということに関してはきちんとチームに伝えてきたつもりです。「現状を当たり前と思ってはいけない、応援、支援されることに慣れて、感謝の気持ちを忘れてしまってはいけない」。自分で言っておいて何ですが、本当にその通りだと思います。

 先日、法学部の広報係の方から取材を受けました。その中の一つの質問にこういう者がありました。「部活の4年間で一番の思い出は何ですか?」。すぐには思い浮かびませんでした。それほどこの部活で過ごした4年間がどこを切り取っても最高の思い出だからです。「この部活に入って良かった」、心からそう思いますし、これからもこの思いだけは変わることはないと思います。練習がしんどくて足が動かなくなった瞬間も、移動中に部車でたわいもない話をした瞬間も、勝った試合も負けた試合も全て、一つも無駄じゃありません。最高の4年間でした。ただ、強いて言うならやはり、先輩たちが達成できなかった学リ優勝、インカレ出場を決めた瞬間は強烈な思い出です。約30年ぶりのインカレ出場、私たちにとっては何年ぶりかはさほど重要ではなかったわけですが、「九大は強いぞ、俺たちは強いぞ」ということを、示すことができたのは非常に嬉しかったです。そして、あれだけ応援いただいたOBさん方、何より大迫監督、土肥コーチに優勝とインカレ親子対決をプレゼントできたことはこの上ない喜びです。

 一つだけ思い残すことがあるとするならば、七大戦で結果を残せなかったことでしょうか。後悔している訳ではありません。ただあの場所で結果を残せなかったことに思いは残っています。実際に勝てる試合は多かったですし、接戦をものにできなかったことで結果はついてきませんでした。私たちが果たせなかった七大戦優勝については、未来ある後輩たちに勝手に託そうと思います。きっと君たちなら良い結果を残してくれるでしょう。

 さて、長々と失礼していますが、最後は皆様へのお礼の言葉で終わりたいと思います。

 まず、OB・OGの皆様。本当に4年間ありがとうございました。日頃の支援や応援は言うまでもなく深く感謝しています。私が特に伝えたいのは、この素晴らしい部活をここまで紡いできてくださったことに対する感謝です。本当に良い部活です。困難も苦労も夢も感動も青春も全てこの部活に詰まっています。そんな素敵な部活を、九州という過酷な環境の中で衰えさせずにここまで繋いでくださってありがとうございます。そのおかげで最高の4年間に出会えました。私たちの4年間の青春がOB・OGの皆様に届いていれば、そして、皆様の青春を思い起こすきっかけになっていれば非常に嬉しいです。本当にありがとうございました。

 大迫監督、下級生の頃から衝突しながらも、最後には良いチームになりました。今はお互いの考えが深く理解できるようにまで関係性が向上したと思います。毎日毎日、九大ホッケー部のためにありがとうございます。ホッケーの事だけじゃありません。チームに関わる全てのことを先陣切ってずっとやってくださいました。ここまで熱心な監督はどこを探しても他に見当たりません、心から感謝申し上げます。監督の親子対決の実現は、私たち4年生にとっては非常に喜ばしいことでした。七大戦で結果を残せなかったことは申し訳ないです。勝てるチーム作りをしてくださったことに報いることができなかったと思います。ですが、後輩たちを私たち以上のチームに育て上げて是非七大戦でも結果を出せるチームにしてください。たくさん指導していただきまして本当にありがとうございました。

 土肥コーチ、このチームの勝利は、大迫さんは言うまでもなく当然のこと、土肥コーチなしには絶対にありえませんでした。土肥コーチのつくるメニューが、そして指導がそのまま学リの優勝につながったことは誰の目にも明らかで、土肥コーチを胴上げできたあの瞬間に勝る感動はありません。スポーツは、ホッケーは、勝たないと面白くない。それを誰よりも知る土肥コーチだからこそ、あんなに熱心に指導してくださったのだと、そう思います。こんなに素敵なコーチに指導していただいた私たちは幸せ者です。これからも後輩たちを強くしてあげてください。ありがとうございました。

 新2年生、君たちは最高で最強の学年になれる素質を備えています。しかし、それを活かすも殺すも君たち次第だと思います。ホッケーあんまり上手くない僕が言うのもなんだけど、僕らを目標にしてはいけないと思う。余裕で追い抜くくらい強くなってほしい。将来の君たちのホッケープレーヤーとしての姿を見るのが非常に楽しみです。苦しいときには、横の繋がりを大事にしてください。その4年間で仲間以上に大切なものはありません。4年間で作り上げるチームそのものが君たちの宝物になることを決して忘れないでほしい。マネージャーの皆、支えてくれてありがとう。君たちがいなかったらこの部活は終わってたかもしれない。それだけマネージャーって大事な存在です。プレーヤーの尻たたいて走らせてあげてください。

 新4年生、君たちは本当に苦しい代だと思う。次々に人が辞めていき、4人しか残らなかった。僕は君たちの仲間を引き留められなかった事を今でも悔やんでいます。でも、そんな中残った君たちは誰よりも強いと思う。次の代、守りの代なんてことは誰にも言わせないでほしい。君たちだけの最高の代を作って結果を出してほしい。プレーヤーの3人は、後輩を厳しく育てながら、何よりも自分に厳しい先輩になってください。そして、支えてくれる人への感謝や九大ホッケー部として目指す姿だけは、きちんと継承していってください。そして、もあちゃん、みんな一気にいなくなったあのとき、もあちゃんが残ってくれたおかげで僕たちがどれほど救われたことか。こればかりは感謝してもしきれません。一人で部を支えてくれて本当にありがとう。あなたのおかげで素敵なマネージャーが増えました。あなたたちマネージャーのおかげで僕たちは何も気にせずホッケーに打ち込めました。本当にありがとう。これからも未熟なプレーヤーたちをよろしくね。

 皆様、最高の4年間を本当にありがとうございました。次はOBとしてこの部に関わっていきたいと思います。これからも何卒よろしくお願いします。